研究実績の概要 |
ジェネティックニューロパソロジー(死後脳における分子表現型を中間表現型として遺伝多型との関連を検討する研究手法)を様々に展開した。①統合失調症及び健常対照死後脳各20例の凍結サンプルの前頭前皮質及び側坐核を用いて、Aktシグナル伝達系分子群のタンパク発現量を多項目同時測定し、それぞれの遺伝子多型との関連を解析した(J Psychiatr Res.2016)。②上記①に双極性障害死後脳6例を加え、同領域のサンプルついてELISA法を用いてDARPP-32及びCaNのタンパク質定量を行い、これらの脳内タンパク質発現表現型と全ゲノム遺伝子多型解析により得られたドパミン関連分子の遺伝子多型55 SNPs (ANKK1 (9), DRD2 (8), PPP1R1B 8 (1), PPP3CA (26), PPP3CB (1), PPP3CC (8), PPP3R1 (2)) との関連を解析した(in preparation)。尚、遺伝子多型との関連解析では総死後脳を82例に増やして行った。③DRD2における-141C ins/del 多型と統合失調症死後脳線条体におけるDARPP-32発現の関連研究を行った(Psychiatry Res.2018)。④統合失調症24例を含む60例の死後脳上側頭回を用いて、微小循環・慢性炎症関連分子群のタンパク発現量を多項目同時測定し、各々の遺伝子多型との関連を解析した(in preparation)。また、上記統合失調症群に関しては、臨床情報(罹病期間、抗精神病服薬量、生活歴・既往歴・手術歴・鎮痛薬を含む全服薬歴等)との関連も検討している。
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