研究課題
抗N-methyl-d-aspartic acid(NMDA)受容体抗体陽性脳炎は、抑うつ状態・不安状態から幻覚妄想状態、認知機能障害など多彩な精神疾患を急性~慢性に呈する自己免疫疾患である。本研究は抗NMDA受容体抗体陽性脳炎で生じる認知機能低下、幻覚妄想、抑うつなど多彩な精神症状の病態を解明するために、その症状・血液生化学・髄液検査・画像検査所見と遺伝子検査所見の関連を調査している。現時点で一般髄液検査正常のNPSLE患者の髄液で抗NR1抗体、抗NR2抗体を測定し、患者背景、臨床症状、認知機能との関連を調査した。橋本脳症の患者とSLE患者では抗NR1抗体、抗NR2抗体の症状に寄与する役割が異なっている可能性を示唆する結果が得られ、現在この結果に関して論文執筆中である。また、SLE患者での精神症状と脳PET所見関連を調査し、結果は国際誌に掲載されている。引き続き、抗体陽性患者の中でさらに症状発言に関連する遺伝子やマーカーとなるSNPの探索を続けていく。
3: やや遅れている
当初の計画よりも対象者の条件を厳しくしたため、サンプルの収集が遅れている。また対象者の臨床症候を詳細にみると多彩・多種多様な精神症状を呈しており、これらを一括して一つの群として扱うことは難しい可能性があり、症状ごとに群分けするにあたって当初予定していたよりさらにサンプル数が必要となってきている。
引き続き髄液中抗NMDA受容体抗体陽性の対象者を募集しサンプル数を増やす。対照群となる抗NMDA受容体抗体陽性者、精神疾患の既往のない自己免疫性疾患患者のサンプルも同時に集める。画像所見およびSNPの解析を続け、臨床所見との関連を見出す。
別途記載した通り計画の変更を余儀なくされたため、遺伝子解析を次年度に回し一括で解析することによりコストの削減をはかった。
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Schizophrenia Research
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