幼少期の社会経験が脳の発達や神経活動、とりわけ精神機能に重要な役割を果たしていることがわかっている。この神経回路基盤に関わる分子メカニズムを解明するために、生後21日から35日の一定の期間に隔離飼育されたマウスと集団で飼育されたマウスから経時的に前頭前野を取り出し、遺伝子発現を比較検討した。結果、神経活動を正しくおこなうために必要とされる興奮・抑制バランスを制御し、神経活動依存性に発現する遺伝子の発現変化と、脳内の炎症性遺伝子の発現の経時的変化が隔離飼育されたマウスにおいてみられた。これらの変化が、社会経験に端をなす前頭前野機能障害に関わっていることが示唆された。
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