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2015 年度 実施状況報告書

自閉症マウスにおけるミクログリア機能の多角的解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K19743
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

井川 大輔  奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526717)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード自閉症 / マイクログリア / ニューレグリン
研究実績の概要

生後 8 日目の自閉症モデルマウスBTBRマウス、コントロールのC57B6/J マウスからマイクログリアを単離してqPCR法にて対象mRNA発現量を測定した。まず、活性化の程度を評価するため炎症性サイトカインを測定した。BTBRマイクログリアではIL-1βの有意な上昇、IL-6は有意な減少を認め、TNF-αは差がみられなかった。またNRG1は有意差がなく、splicing variantであるNRG1 typeⅡでのみ有意な発現上昇を認めた。さらにNRG3も有意な上昇を認めた。 幼少期のC57B6/JマウスにNRG3を投与すると他のマウスとの接触が減り自閉症様行動を生じさせるという報告があることから、BTBRマウスにおける自閉症様行動にマイクログリア由来NRG3の発現上昇が関与していることが示唆された。またマイクログリアにおけるNRG発現について過去に報告が無いため、NRG1抗体とマイクログリアで発現しているiba1抗体を用いて蛍光免疫細胞染色並びに組織染色を行い局在が一致することを確認した。次にマイクログリアの活性化によるNRGの発現変化が生じるのか、C57B6/Jマウスからマイクログリアを単離し、LPS添加培養しマイクログリアを活性化させ炎症性サイトカインの発現上昇を確認した。コントロール群(PBS)に比較してNRG1、NRG3遺伝子の有意な発現増加、NRG1のsplicing variantであるtype1、type2、type3全ての発現増加を認めた。 これはマイクログリアの活性化が報告されている自閉症や統合失調症、躁うつ病、せん妄など多くの精神疾患においてNRGシグナルの異常が生じている可能性を示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたマイクログリアと海馬切片の共培養によるシナプス形成やニューロンへあたえる影響について解析を試みたが、培養中のBTBRマウス由来マイクログリアの生存率がC57B6/Jマウス由来のものに比べ低くかった。条件を変えBTBR由来マイクログリアの生存率の向上をはかったが改善はみられなかった。このため共培養系での解析は困難と思われる。

今後の研究の推進方策

培養によるBTBRとC57B6/Jマウス由来マイクログリア生存率の差違について解析を行う。また、マイクログリアと海馬切片の共培養解析で予定していた電気生理学的解析については、当初予定していたミクログリア移植(BTBRマウス由来マイクログリアをC57B6/Jマウスに移植する)の系を用いて行う。また他の自閉症モデルマウスであるFABP7 knock outマウスやTBX1マウス由来マイクログリアを用いて組織学的、行動学的解析を行い、自閉症におけるマイクログリア由来ニューレグリンの関与について明らかにしていく。

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公開日: 2017-01-06  

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