本研究は、治療抵抗性うつ病(TRD)に対してrTMS治療を効果的に選択するための客観的な生物学的指標を確立し、ECTの選択の最小限化につなげることを目指し、(1)TRDにおける神経ネットワークの障害の解明、(2)TRDにおけるECTとrTMSの治療機序の解明、(3)TRDにおけるrTMSにおけるrTMS治療の反応予測指標の確立、を検討する。
平成29年度は大うつ病性障害と双極性障害の患者においては、健常群と比較し、広範な脳領域でFA値の低下が認められ、大うつ病性障害の患者において平均FA値の低下と数字順列課題・トークン運動課題・符号課題の低成績との有意な相関が認められ、双極性障害群において平均FA値の低下と言語性記憶課題の低成績との有意な相関を明らかにした。本研究で得られた結果は、学会発表(第39回 日本生物学的精神医学会)している。さらに、TRDの脳梁白質に対するrTMSの作用機作を明らかにするため、患者群でrTMS前後の白質のFA値の変化を検討している。
また、補助事業の目的をより精巧に達成するための研究を実施し、精神疾患における微細白質構造異常をテーマにした論文投稿の準備をしている。
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