昨今、アルツハイマー型認知症や軽度認知機能障害に対する炭酸リチウムの効果と安全性を検討した無作為化比較試験が数本報告されており、認知機能障害の進行抑制効果や髄液中のリン酸化タウを低下させたことが報告されている。2015年度において、我々は既報のRCTのメタ解析を行い、炭酸リチウムがアルツハイマー型認知症に対し認知機能障害の進行抑制効果を持つ可能性があることを報告した。本研究の目的は、これらの結果を踏まえて、本邦初の、アルツハイマー型認知症に対する炭酸リチウムの認知機能障害、周辺症状、日常生活動作に対する効果、および安全性に関して、プラセボ対照、二重盲検、無作為化比較試験を行い検証することである。2015年度に倫理審査委員会の承認を得て、2018年現在、25例の症例登録が終了している。また、現在までの期間に、重篤な有害事象は発生していない。今後、症例登録を増やして、引き続き臨床研究を遂行していく予定である。
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