研究課題/領域番号 |
15K19756
|
研究機関 | 国立研究開発法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
北村 聡一郎 国立研究開発法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 博士研究員 (10714389)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | PET / 認知症 / 行動心理症状 / MRI |
研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症(AD)における行動心理症状(BPSD)は妄想、幻覚、抑うつ、不安、徘徊などの多彩な精神行動症状を呈し、しばしば認知症と合併して介護家族の負担増大や、医療機関への入院の原因となる。認知症患者は今後も増加を続けることが考えられ、それに伴いBPSDへの適切な対応が求められる一方で、その背景病理は依然はっきりしない。 本研究の目的は、ADにおける行動心理症状である妄想症状の発現について、陽電子断層撮像検査(Positron Emission Tomography)でタウ蛋白を標識する放射性化合物である[11C]PBB3で評価したタウ蛋白の蓄積、および機能的MRIにおけるfunctional connectivetyの障害の関連性を臨床症状評価スコアおよび認知機能検査を含めて検討を行い、ADにおける妄想症状の発現についての生物学的な基盤について検討を行うことである。 平成27年度にAD患者を対象に、PET検査およびMRI検査と認知機能検査、BPSDについての臨床症状評価スコアを行なった。得られた画像データから、[11C]PBB3-PETデータの解析方法の検討や、PETリガンドにおける妥当な参照領域の検討などを行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に被験者の募集、画像検査、臨床症状・認知機能検査の評価が進んでいる。また[11C]PBB3-PETデータの妥当な解析方法について検討を行なった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き検査症例数を増やして、データ解析を行う予定である。その中で、さまざまな重症度の症例を速やかに組み入れられるように、臨床的・神経病理学的にADと一連のスペクトラム上にあると想定されている、mild cognitive impairment (MCI) due to ADについても対象被験者とする方針とした。 また、行動心理症状は様々な症状が互いに影響を与え合いながら、介護負担の増加に寄与していると考えられることから、妄想以外の行動心理症状についても、タウ蛋白の蓄積および脳内ネットワーク障害などの病態への関連性についても検討を行う方針とした。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の変更に伴い、予算の使用状況が変更したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
統計解析ソフトや関連書籍、備品の購入等に使用する予定である。
|