アルツハイマー病(AD)の神経病理学的変化であるタウ蛋白蓄積はADの認知機能障害など臨床症候とよく関連することが知られているが、行動心理症状との関連性についてははっきりしていない。本研究ではADの行動心理症状とタウ蛋白蓄積の関連性について、タウ蛋白標識PETリガンド11C-PBB3を用いて検討した。行動心理症状のうち頻度の多いアパシー症状が前頭葉、特に眼窩前頭皮質におけるタウ蛋白蓄積と関連した。さらに同部位のタウ蓄積は直接的な神経細胞毒性および同部位の皮質菲薄化と接続する鉤状束の白質構造障害によるネットワーク障害から間接的にアパシー症状を引き起こす可能性が示唆された。
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