リゾホスファチジン酸(LPA)は情動や抗うつ薬治療と深く関連している。本研究では、LPAの大うつ病バイオマーカーとしての臨床応用可能性検討のため、未治療患者を含む大うつ病患者群26例、統合失調症患者群27例、健常対照群27例の脳脊髄液と血漿サンプルのLPA濃度を調べた。その結果、脳脊髄液中のLPA濃度は未服薬のうつ病患者群で上昇し、抗うつ薬服薬量の増加とともに減少する傾向が示された。この結果は、動物実験から示唆されたうつ病の治療に伴いLPAシグナル伝達系が減弱するという事実に添うものであった。今後はLC-MSのような検出力と分解能のより高い測定手法による研究の進展が必要であると考えられる。
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