研究実績の概要 |
婦人科腫瘍、乳癌の術後照射の検討を行った。 婦人科癌の術後照射について、昨年度に引き続き以下の研究を行った。 13例の婦人科癌の術後症例について、術後の全骨盤照射をX線による強度変調放射線治療(IMRT)及びSpot scanning proton therapy(SSPT)による治療計画を立て、比較検討を行った。今年度は、照射期間中の解剖学的変化やセットアップに由来する不確実性による影響の評価を行った。具体的にはもともとの治療計画(①Nominal plan)に対し、腸管のCT値を20HUに変更した治療計画(②HU Plan)、Isocenterを頭尾・左右・背腹の6方向に移動させた治療計画(③Shifted Plan)を作成し、比較を行った。昨年度までの研究で、骨髄の照射線量及びGrade3 以上の血液毒性のNTCP値がSSPTではIMRTと比較し、有意に低減されている事が示されたが、HU Plan及びShifted Plan においても同様の結果が得られ、解剖学的変化やセットアップによる不確実性を考慮してもSSPTではIMRTと比較し血液毒性の低減が期待されることが示された。本研究の結果をPhysica medica誌に投稿し、受理された。 40例の乳癌の術後照射症例について正常組織の線量体積評価及び内胸リンパ節の照射線量の評価を行った。Isocenterに対し50Gy/25回の放射線治療の治療計画で、患側肺のV40Gy,V30Gy,V20Gy,V10Gy,V5Gyはそれぞれ4.5%、6.7%、8.8%、12.3%、18.6%であった。内胸リンパ節のD95%,D90%はそれぞれ142cGy、177cGyであった。本研究の結果の正常組織の照射線量評価の部分を第75回日本医学放射線学会総会で、内胸リンパ節の照射線量評価を含めた結果を58回米国放射線腫瘍学会で発表した。
|