初年度に開発した腫瘍細胞増殖能および腫瘍血流マップを頭頚部癌患者に用いて臨床的有用性を判断した。実際は全身化学放射線併用療法を行う患者群に治療前、治療中、治療後にそれぞれ撮像し、治療効果予測に関しての有用性を検討した。結果としては、腫瘍細胞増殖能マップ、腫瘍血流マップそれぞれにおいて治療中での変化率が局所制御率と関与することが解析により明らかになった。また、腫瘍の遠隔転移の予測が、腫瘍細胞増殖能マップで行うことが出来た。さらには、治療後に認められる治療後瘢痕組織の活動性を腫瘍細胞増殖能マップで性状判断することによって将来的な局所再発を予測することが出来ることが明らかになった。これらを全てかけ合わせることによって、治療予後予測の腫瘍マッピングが可能であると判断したが、どの値を重みづけしてマップを作成するかは、より詳細な非線形回帰分析を用いて検討していく予定である。 また、前年度までは低酸素領域を反映したマップの画質が不十分であったことから、新しいアプローチとして拡散強調像の新たなモデル式から得られたパラメータと腫瘍血流を反映させたパラメータをそれぞれ組み合わせることによって低酸素領域の同定を目指した。特に拡散強調像のひとつのモデル式から得られる拡散係数が低酸素領域とある程度相関することが判明し、さらに画質も比較的良好であることから解析手法のさらなる改善によって十分な画質のマップを作成することが可能であることが示唆された。
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