研究課題/領域番号 |
15K19762
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 智章 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60586874)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 拡散強調像 / 脊索腫 |
研究実績の概要 |
昨年度までの結果により現状のDual Energy CTによる体内のプラチナ検出(生体に投与できる濃度において)が困難であると予想されたことと、研究期間途中からアメリカのアイオワ大学神経放射線科に留学を開始したため、拡散強調画像が脳・骨腫瘍において予後因子となりうるか評価した。脊索腫は低悪性度の骨腫瘍であり、頭蓋底、脊椎、仙尾骨に発生する。近年は重粒子線治療が良好な成績を示す報告がされることが増えたが、手術による全摘出による予後改善のエビデンスが多い。 脊索腫はその発生部位からは全摘出が難しい場合が多く、残存病変に対して定期的な画像における経過観察がなされる。その中で拡散強調像が再発の予測および予後に有用かを後ろ向きコホートに検討した。16名の再発脊索腫患者を20%以上の腫瘍増大かつdoubling timeが1年未満をPDrapid、20%以上の腫瘍増大かつdoubling timeが1年以上をPDslow、20%未満の腫瘍増大をnonPDと定義し、分類した。PDrapidは5名、PDslowは4名、nonPDは7名であった。経過観察の中央値は48か月であった。拡散強調像から得られたADC値はPDrapid群で最も低く、有意差があった(p=0.002)。ROC解析においてPDrapidを予想するArea under the curveは0.964(p=0.001)と有意に高く、カットオフADC値を1.38x10-3 mm2/s以下とした際の感度は1.00、特異度は0.901であった。Log-rank testにおける生命予後評価もカットオフADC値1.38 x10-3 mm2/s以下は有意に予後不良であった(p=0.001)。術後再発脊索腫において低いADC値は腫瘍増大速度が速く、かつ予後不良因子とするバイオマーカーの一つである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度の実験結果から計画予定の変更を余儀なくされたため。 今年度の途中より海外留学(アイオワ大学放射線科)に来たため、CT装置のメーカーが異なり研究を続けることができなかった。 Dual energy CTおける撮像方法側からのアプローチも重要であるが、脳・骨腫瘍などの病変側からのアプローチとして画像におけるバイオマーカーを探索することも重要と考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
拡散強調像は腫瘍の悪性度を反映するとの報告が多いが、生命予後との関連を報告した研究は少ない。海外留学中は拡散強調像のバイオマーカーとしての役割を脈絡叢腫瘍などの各脳腫瘍について研究する。 帰国後は、Dual energy CTにおけるプラチナ描出における基礎研究の再考の他、バイオマーカーとしての役割および拡散強調像の役割などを探索していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外留学による研究継続困難なため
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次年度使用額の使用計画 |
帰国後、当初予定(1年遅れではあるが)の研究を再検討するとともに、新たな画像バイオマーカー探索のための画像解析ソフトを購入する
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