研究課題
時計遺伝子は、およそ24時間周期で振幅発現する遺伝子であり、その機能により生物活動を制御している。時計遺伝子DEC1およびDEC2は、Basic-helix-loop-helix(bHLH)型転写因子であり、時計中枢である視交叉上核のみならず、全身の組織および細胞で、概日リズムを形成している。また、免疫応答系や様々な組織分化の制御、癌化や低酸素応答、アポトーシス制御など、生体内における多彩な制御機構を担っている。本研究の目的は、癌細胞の増殖・浸潤・代謝などの病態進展を制御する時計遺伝子DECの分子機構を解析し、臨床応用することである。本研究では、ヒト食道癌細胞において、DEC1過剰発現がリンパ管マーカーであるpodoplaninと正の相関関係を有し、DEC2が負の相関関係を有することが示された。また、ヒト食道癌細胞において、時計遺伝子DECが、上皮間葉転換EMT(epithelial-mesenchymal transition)誘導因子の1つであるTGF-βのエフェクターとして働いていることが明らかとなった。ところで低酸素誘導因子HIF-1αは細胞に低酸素状態が生じると誘導され、VEGF・各種解糖系酵素・グルコース輸送体 (GLUT1など)・エリスロポイエチンなどの発現を誘導することが知られており、先行研究ではDEC2がHIF-1α/ARNT1を介して抗血管内皮増殖因子(VEGF)遺伝子発現を制御することが報告されたが、ヒト肝細胞癌細胞においては、低酸素誘導因子HIF-1αを介してDEC1がE-cadherinの発現を抑制し、EMTに関与することが明らかとなった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件)
Oncology Letters
巻: 15 ページ: 6195-6202
10.3892/ol.2018.8097
Clinical Medicine Insights: Pathology
巻: 10 ページ: 183-190
10.1177/1179555717729652
Biomedical Research
巻: 38 ページ: 249~255
10.2220/biomedres.38.249
巻: 38 ページ: 221~227
10.2220/biomedres.38.221
Anticancer Res.
巻: 37 ページ: 183-190