研究課題/領域番号 |
15K19765
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石川 陽二郎 東北大学, 大学病院, 助教 (40732813)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 体幹部定位照射 / 画像誘導放射線治療技術 / 視認可能動的呼吸停止 |
研究実績の概要 |
肺癌に対する体幹部定位放射線治療において腫瘍の呼吸による移動が問題でとなるが本研究では呼吸性移動の影響を軽減すべく、放射線治療中に腫瘍の位置移動をリアルタイムで患者自身が視覚的に認識し、意識的に腫瘍の呼吸移動をコントロールするシステムを構築することを目標としている。本年度は、体幹部定位放射線治療に画像誘導放射線治療技術を患者に直接応用すること目指前段階のため、患者本人によって肉眼的腫瘍位置を眼前モニターにおいて可視化するシステムを構築することをめざすものである。
研究者施設に現存のビデオウエア(Wrap1200VR)を使用した研究としていた。施設現有のカメラに対して研究者施設にある放射線治療装置では患者眼前に画像を出力することができないため、まずは接続ラインの確保、安定した画像の描出を行える環境整備を行った。放射線治療室内で撮影された腫瘍の位置情報(KV Xray)を出力するケーブルの接続ラインの確保とした。今回の研究費用をもとに専用の接続デバイスを購入。接続通信環境を整ったことで、治療計画装置で撮影された透視画像が実際に患者眼前モニターへ投影することが可能となった。また、最終的には患者に対して直接画像撮影を行うことを目標とするが、健常者への使用は被ばくの問題から困難であるため、前段階の評価として呼吸状況を模したファントムを購入。呼吸ファントムを実際の治療寝台に乗せて装置を起動させることにより良好な画像取得ができることを確認することが可能となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当施設配備の治療計画装置によって撮影される画像と、外部接続出力の環境構築に関して時間を要した。接続機器、システム環境が特殊なものであったため納入の遅延や予定した接続方法での不十分の画像出力がなされなかったことなど予期せぬ事態が起こった。このことにより、当初の研究計画から若干の遅れを生じた。このため眼前モニターへの透視画像の直接的な出力を行い模擬ファントムを用いて治療室での透視画像の撮影、線量の評価を行うには至っていない。予備研究として健常者を対象とした眼前モニターを用いた、呼吸移動に関する基礎的検討を行い報告を行った。Comparison of visual biofeedback system with a guiding waveform and abdomen-chest motion self-control system for respiratory motion management J Radiat Res (2016)doi: 10.1093/jrr/rrv106 First published online: February 27, 2016
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までに、放射線治療中の腫瘍に関する情報として、①放射線治療装置によるkvXrayのシネ画像と画像にfusionしたROIを表示するシステムの構築をおこなった。②呼吸移動による腹壁の動きを眼前モニターにフィードバックするシステムの確立を行った。 上記①、②を包括することで腫瘍の呼吸性移動を眼前にモニター行いながら、セルフコントロールにより腫瘍の位置を能動的にコントロールができるかどうかを検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当年度において、人件費・謝金を使用する段階まで研究の進捗を見なかった。このため今年度での人件費の発生はなかった。一部物品に関して既存の物品で代替可能であった。また、購入価格を抑えることが可能であった物品があった。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究の進捗に合わせて順次、人件費、謝金の使用を行う。また、新たな不足物品の購入を行う予定である。学会への報告、論文作成などの費用として使用予定。
|