研究実績の概要 |
てんかん患者のMRI構造画像およびfMRIデータを取得し疾患特異的な異常の同定を試みた。安静時fMRIに関しては、解析の最適化と新規バイオマーカーの開発のために、健常者データによる自発性神経活動の動態解析を施行した。まずblood oxygenation level dependent(BOLD)信号の時間差解析(global mean signalとの相互相関解析によるtime lag mapping)と脳の灌流時間(Dynamic susceptibility contrast perfusion imaging, time-topeak)計測の比較により、自発的神経活動にはいわゆるresting-state networkと呼ばれる同期性ネットワークの他に、全脳性の伝播性活動が複数存在すると考えられる事を示した。結果は学会(磁気共鳴学会 2015)および、論文(Amemiya et al. Neuroimage 2016)にて報告した。この伝播性活動がtask-positive networkとdefault-mode-networkの相互作用の基盤となっている可能性があること確認した。引き続き、伝播性活動と同期性活動の関係について明らかにするために、両者を分離して同定する解析法の開発を進めた。これまでの解析で、巨視的神経ネットワークの同期性活動の由来として、(semi)globalな伝播性成分とネットワーク毎の固有同期性成分のそれぞれを分離して同定可能なことを確認している。並行して、自発性神経活動の時空間的非対称性を鋭敏に検出するため解析法の開発を進めた。これにより自動優位半球同定が可能である事を、multi-echoデータによるノイズ除去の有用性と合わせて報告した(Amemiya et al. MRM 2019、JRS秋季大会 2018、ECR 2019, )。
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