CT再構成アルゴリズムで再構成された減弱係数とエメルギースペクトルを考慮した減弱係数の計算値を比較し減弱係数の定式化を行った。再構成が困難であったkV領域-MV領域の大きなエネルギーギャップを持つデュアルエネルギーCT再構成を行う事が可能になり、数パーセント精度で有効原子番号を推定する事に成功した。本研究における成果を国内学会一回、国際学会二回、計三回発表した。本研究の成果をまとめPhysics in Medicine and Biology或いはそれに準ずる論文に投稿する為論文を執筆中である。以下に本研究の詳細を示す。 (1)モダリティのモデリング:CT再構成に用いるElekta社のAgilityに搭載される治療X線装置と患者位置合わせ用X線装置のエネルギースペクトルをGEANT4を用いて推定した。 (2)減弱係数のシミュレーション:エネルギースペクトルを考慮した減弱係数とCT再構成アルゴリズムで仮定されている単一エネルギー減弱係数を比較し、減弱係数推定にエネルギースペクトルの考慮が必須である事を確認した。kV領域とMV領域で、減弱係数の再構成精度に大きな差がある事を確認した。特にkV領域の高有効原子番号の物質で精度が著しく悪化する事を確認した。 (3)減弱係数の定式化:kV領域MV領域のエネルギースペクトルを考慮した減弱係数の計算値とCTアルゴリズムで再構成された減弱係数の関係を4次多項式で定式化し、それぞれのエネルギー領域の減弱係数に対してキャリブレーションを行った。 (4)エネルギースペクトルを考慮したデュアルエネルギーCT再構成法の開発:kV領域MV領域、それぞれの減弱係数に対してエネルギースペクトルを考慮したキャリブレーションを行った。今までは困難であったkV領域-MV領域のデュアルエネルギーCT再構成を行う事に成功し、有効原子番号を数パーセント精度で推定可能にした。
|