研究実績の概要 |
本研究の目的は、小腸および大腸の磁気共鳴画像(MR enterocolonography, MREC)を用いた、クローン病の活動性評価法を開発することである。 クローン病の腸管病変の活動性を反映するMRの画像所見は様々なものが報告されている。活動性の重症度を点数化する方法がこれまで多数の研究者により提案されてきたが、従来方法としてvalidation studyが行われ、信頼性が高いとされているMagnetic Resonance Index of Activity (MaRIA)は、MRの信号値の測定が多く煩雑なものであり、日常診療での利用が困難であった。 私たちの研究では、様々な画像所見を集約し、視覚による4段階評価を基本とするスコア (MREC score)を考案した。2014年4月から当施設でMRECおよび内視鏡検査が行われた70例の患者に対して、MREC scoreとMaRIAを算出・比較し、MREC scoreはMaRIAに劣らないことを明らかにした。更に、小腸内視鏡との対比により、偏側性変形および腸間膜リンパ節の腫大が、MaRIA陰性例でも潰瘍病変を示唆する所見であることを示した。 更に、消化性潰瘍の内視鏡分類として従来から用いられている活動期、治癒期、瘢痕期をクローン病の腸管病変に初めて適用し、MRスコアが反映するかについても検討を行った。MaRIAおよびMREC scoreどちらも、治癒期の潰瘍病変は活動期に比べてより活動性の低いスコアを示すことが明らかとなり、臨床応用の有用性が示された。
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