研究実績の概要 |
本研究の目的は、小腸および大腸の磁気共鳴画像(MR enterocolonography, MREC)を用いた、簡便なクローン病活動性のMREC評価 法を開発することである。 クローン病のMRスコアは、今まで様々は方法が報告されてきた。その中でも内視鏡スコアを基準に作成されたMagnetic Resonance I ndex of Activity(MaRIA)は、検証試験も行われた信頼性の高い方法として知られているが、このスコアの算出には、MR信号値の繰り返す計測が必要であり、日常診療の利用が困難であった。また、このスコアは大腸内視鏡から作成されたものであり、小腸内視鏡所見との対比は行われていない。 私たちの研究では、本年度はクローン病の活動性評価法として、視覚的に5段階に分類する「5-point MREC classification」を作成した。MaRIAに対して非劣性であることを確認し、学会報告をおこなった(2017年ヨーロッパ放射線学会)。 また、「5-point MREC classification」とは別に、決定木解析を用いた更に簡便な分類方法を作成し、学会報告した(2017年 日本医学放射線学会)。 また、以下のMRシークエンスとクローン病活動性評価についても検討を行っている。 (1)磁気共鳴画像の撮像法の一つである拡散強調画像(diffusion weighted imaging, DWI)に対して、任意のb値の画像が得られるcomputed DWIを適用し、疾患活動性評価における有用性について検討を行った(2017年ヨーロッパ放射線学会)。 (2)増強効果の定量評価(RCE)について、大腸ではRCEの測定による活動性病変の検出能は高いが(86.4%)、小腸ではやや低い(64.3%)ことを明らかにした(2017年日本医学放射線学会総会)。
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