研究実績の概要 |
本研究の目的は、小腸および大腸の磁気共鳴画像(MR enterocolonography, MREC)で撮像される様々な撮像法のおける定量的・定性的評価方法とクローン病の内視鏡的活動性との関連性を明らかにし、新たなクローン病の活動性評価法を開発・確立することである。研究の背景としては、既に有用性が確立しているクローン病のMRスコアであるMagnetic Resonance Index of Activity(MaRIA)は煩雑な計測が必要であり、日常診療への利用には簡便な代替手段が必要とされていること、またMaRIAで用いられている各種の定量・定性パラメータは、いずれも炎症の活動性の検出能に限界があることが知られており、新たなMR解析方法を検討する必要があることが挙げられる。 私たちの研究における当該年度の研究成果は以下の通りである。(1)クローン病の活動性評価法として、MaRIAで用いられているパラメータを視覚評価としてまとめ、5段階に分類する「5-point MREC classification」を作成し、MaRIAに対してその診断能は非劣性であることを示し、国際紙に掲載した。(2)MRIの高速撮像を繰り返して得られる画像(cine MRI)で観察できる腸管の蠕動運動は、活動性炎症により低下することが知られている。この蠕動運動に対する、より客観的な定量評価法は確立されていない。私たちは動画像における画面内のピクセル毎の各フレーム間における動きをflow vectorとして推定するオプティカルフローを用いた新たな画像解析ソフトウェア(motility map software)を開発し、そのmapを用いた蠕動運動の計測値は内視鏡的活動性と関連性があることを明らかにした。
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