研究課題/領域番号 |
15K19786
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯間 麻美 京都大学, 白眉センター, 助教 (60748797)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 拡散強調MRI / IVIM / 腫瘍 |
研究実績の概要 |
本研究は、造影剤を使用せずとも組織の内部評価が可能な拡散強調MRIを用いた新たな診断法を確立するため、多数のb値(傾斜磁場の強度と印加時間を用いたパラメーター)での拡散強調像を撮影することにより、非ガウス拡散MRI(特にKurtosisモデル)及びIVIMによる解析や組織病理像との比較、診断能の評価を通して臨床に役立てることを目標としている。 本年度は、算出される灌流・拡散パラメーターにつき信頼できるデータを得るための撮像方法の検討をファントム及びボランティア撮影により行い、異なる加算回数及びb値の組み合わせを用いて撮影する事により各パラメーター値の信頼性や再現性を検証した。ファントム及びボランテイア拡散強調画像においては、異なる加算回数及びb値により得られる各パラメーターに関し特に拡散パラメーターで良好な級内相関係数が認められた。IVIMを始めとする灌流パラメーターにおいては変動係数が大きい傾向が認められた。これらの結果を国際磁気共鳴医学会(ISMRM)に発表予定である。 また、拡散強調像撮影において問題となる歪みの程度を軽減したReadout-segmented EPIによる拡散強調像を、頭頚部腫瘍を主とする臨床例において撮影し、各病変毎のパラメーター値の変動やおける良悪性腫瘍鑑別における診断能の比較、最も汎用性の高いパラメーターの探索を行った。かつ、できるだけ非ガウス拡散MRI、IVIMの情報を損なうことなく、b値の数を減らす事により短い撮影所要時間で算出可能なsynthetic ADCを用いて至適b値の検討及び従来のパラメーターの比較を行い、北米放射線学会(RSNA)に発表した。上記結果においては論文作成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
撮像方法の検討に関しては、ファントム及びボランティア撮影によりある程度の成果を上げることができたが、臨床応用にあたり、画像のノイズ除去などいくつかの課題を残している。臨床例においては拡散強調画像から得られる情報をできるだけ損なわず、汎用性の高いパラメーター(synthetic ADC)を導入し、従来のパラメーターとの診断能の比較を行う事が出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床検討においては、さらに例数を増やすことによりパラメーターの汎用性を高める。Heterogenityを始めとする腫瘍内定量評価、造影剤を用いたMRIの灌流画像などの画像定量マーカーとの比較、及び詳細な病理組織学的所見との対比も行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初予定されていた程のデータ量が発生せず、コンピューター関連予算の使用が当初見積もられたよりも少なかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度以降はさらなるデータ量の発生及びそれに伴う研究成果発表に要する経費が予想され、これらに使用する計画である。
|