研究課題
最終年度は、拡散強調MRIにより算出される生体内の灌流評価が可能なIVIM(Intra-Voxel Incoherent Motion)や高いb値を用いて算出される非ガウス拡散MRIに関して、造影剤を使用せずに腫瘍の良悪性やサブタイプ鑑別可能なバイオマーカーとなるかどうかにつきさらに追究した。上記の拡散パラメーターの情報を統合させたsynthetic ADCを含めた乳腺腫瘍臨床例における良悪性やサブタイプ鑑別診断能の検討結果をRadiology誌へ論文発表した。また拡散強調MRIより算出される灌流・拡散パラメーターの信頼性や再現性につきボランティアや乳腺良悪性腫瘍の症例に対して検討を行った。灌流パラメーターは拡散パラメーターよりも再現性が低い傾向を認め、これらの結果につきPLOS ONE誌へ論文発表を行った。授乳期乳腺において、授乳前後で灌流・拡散パラメーターが有意に変化することをまとめた論文発表を行い(European Journal of Radiology Open誌)、国際磁気共鳴医学会(ISMRM)にも発表予定である。拡散強調MRIにおいて重要な撮影パラメーターである拡散時間の追究をスタートさせ、拡散時間が拡散パラメーターに及ぼす影響につきファントムや頭頸部腫瘍や乳腺腫瘍の症例を中心に検討し、この初期検討の結果をISMRMに発表予定であり、論文投稿準備中である。拡散強調MRIから得られる各パラメーターに関する至適撮影の検討、及び病理診断との対比に関してはある程度の臨床データに基づき良悪性やサブタイプの鑑別診断能を評価でき、おおむね順調に進展したと考える。一方で、パラメーターの診断能を総合した診断マップの開発に関しては良悪性鑑別等に有用な閾値の設定等を十分な臨床データに基づき見極める必要があり、引き続き検討を行う必要があると考える。
すべて 2018 2017 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件) 産業財産権 (1件)
European Journal of Radiology Open
巻: 5 ページ: 24~30
10.1016/j.ejro.2018.01.003
PLOS ONE
巻: 13 ページ: e0193444
10.1371/journal.pone.0193444
Radiology
巻: 287 ページ: 432~441
10.1148/radiol.2017162853