研究課題/領域番号 |
15K19788
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀次 元気 大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (70646231)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サイクロトロン / 中性子 / 放射化 |
研究実績の概要 |
平成27年度の本研究の目的として、複数の異なる放射線検出器を用いてO-18(p,n)F-18反応によるF-18製造時の自己遮蔽型サイクロトロンから二次的に発生する熱中性子束を測定した。High Purity-Germanium(HP-Ge)半導体検出器、Cadmium Zinc Telluride(CdZnTe)半導体検出器及びCesium iodide activated thallium(CsI)シンチレーション検出器のエネルギー校正及び計数効率校正を行った。CdZnTe半導体検出器およびCsIシンチレーション検出器は小型で可搬型のものを用いた。計数効率校正には金箔の形状と同じ線源形状を持つ標準線源およびモンテカルロシミュレーションコード(Particle and Heavy-Ion Transport code System:PHITS)を用いた。自己遮蔽型サイクロトロンのターゲット直下の床面に金箔及びカドミウム箔で覆った金箔(放射化検出器)を設置した。Au-197(n,γ)Au-198反応により金箔が放射化する。Au-198から放出される412keVのγ線ををこれら3種類の放射線検出器で測定し、計算により熱中性子束の定量評価を実施した。それぞれの検出器を用いた場合に得られた熱中性子束を比較した。HP-Ge半導体検出器、CdZnTe半導体検出器およびCsIシンチレーション検出器により得られた熱中性子束は、2.58E+06±1.75E+05、2.19E+06±2.72E+05、2.55E+06±1.51E+05 (/cm 2 /s)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画では、各放射線検出器の校正及び、それぞれの放射線検出器を用いた熱中性子束の測定、比較を行うことが目的であった。計数効率校正において、線源形状の違いが結果に与える影響を少なくするためにモンテカルロシミュレーションによる計算も追加した。モンテカルロシミュレーションによる計算を行うことでより簡易的な熱中性子束の測定が実施可能となることから研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度の検討による熱中性子測定法を用い、非自己遮蔽型サイクロトロンの室内における熱中性子束分布を測定し、その結果からサイクロトロン運転状況に応じた建屋コンクリートの放射化の程度を計算により評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、各放射線検出器のエネルギー校正及び計数効率校正や情報収集を主体に研究を進めたため、また、順調に研究が進んだことにより支出が低下した。これにより次年度使用可能な助成金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、前年度の研究で得られた結果から、前年度とは違うタイプのサイクロトロン室内の中性子測定を実施し放射化の評価を行う予定である。また学会において研究成果を発表する予定である。
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