平成27年度には、自己遮蔽型サイクロトロンにおいて金箔放射化法に用いる放射線検出器の基礎的検討及び簡易測定法の検討を行った。金箔とカドミウム箔で覆った金箔をサイクロトロンのターゲット直下床面に設置し、放射化金箔をHigh Purity-Germanium(HP-Ge)半導体検出器、Cadmium Zinc Telluride(CdZnTe)半導体検出およびCesium iodide activated thallium(CsI)シンチレーション検出器を用いて測定し、それぞれの測定結果から熱中性子束を求めた。計数効率校正には標準線源およびモンテカルロシミュレーションコード(Particle and Heavy-Ion Transpors code System:PHITS)を用いた。F-18製造時の熱中性子束に検出器の違いによる有意差は認められなかった。このことから持ち運び可能なCdZnTe半導体検出器、CsIシンチレーション検出器を用いることでより簡易的に熱中性子束が測定できることが示された。 平成28年度には、非自己遮蔽型サイクロトロンのF-18製造時における室内壁32点の熱中性子束をCdZnTe半導体検出器、CsIシンチレーション検出器を用いて測定した。CdZnTe半導体検出器では平均3.08×10^6±1.84×10^5 /cm^2/s (範囲は1.02×10^5 - 7.09×10^5)、CsIシンチレーション検出器では平均3.30×10^5±1.98×10^5 /cm^2/s (範囲は9.74×10^4 - 7.76×10^5)であった。熱中性子束の分布状況はそれぞれの検出器で大きな違いはなかった。 HP-Ge半導体検出器の代わりにCdZnTe半導体検出器やCsIシンチレーション検出器を用いることでより簡易的に熱中性子束が測定可能である。
|