研究課題/領域番号 |
15K19791
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
祖父江 慶太郎 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (90622027)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | R2*値の定量 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,MRIによる肝の脂肪定量の際に同時に得られるR2*値を利用してGd-EOB-DTPA造影剤の取り込みを定量・数値化し,NASHの簡便・正確で効率的なスクリーニングのための非侵襲的検査法を確立することである. 当初の計画通り,第一段階としてR2*値によるGd-EOB-DTPA造影剤の定量・数値化についての検証を行った.具体的にはGd-EOB-DTPA造影剤を含有させて濃度を調整した水溶液の実験用ファントムを作成し,高磁場MRI装置(Philips社製,Ingenia 3.0T)の既存シークエンス(DIXON quant)にて撮像した.Gd-EOB-DTPAはT2*短縮効果よりもT1短縮効果の方が強いため,R2*値とともにT1 mappingを用いてT1値も同時に計測した. 調整したファントムの造影剤濃度は,0mmol/L,0.05mmol/L,0.1mmol/L,0.2mmol/L,0.4mmol/L,0.6mmol/L,0.8mmol/L,1.0mmol/L,2.0mmol/L,3.0mmol/L,5.0mmol/L,10mmol/Lであった.測定したR2*値は0.4mmol/L以下では定量不能であったものの0.6mmol/L以上では正確な定量が可能であった.一方でT1値は0.05mmol/Lまで正確に定量可能であり,当初の予想どおりR2*値よりもT1値の方が低濃度のGd-EOB-DTPAを正確に測定することができることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の目標であった,①R2*値によるGd-EOB-DTPA造影剤の定量・数値化の再検証,に関しては実施したものの,もう一つの目標である②単純性脂肪肝とNASH患者における造影剤取り込み値の定量測定,に関しては施行できておらず,進捗状況は当初の計画よりやや遅れていると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
ファントム実験において,R2*値よりもT1値の方が低濃度のGd-EOB-DTPAを定量可能であることが判明したため,今後の臨床症例ではR2*値だけではなくT1値の測定も行い,肝臓へのGd-EOB-DTPAの取り込みにおける定量性についての検討を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に臨床症例に対してMRIを撮像し,得られたデータ解析を行う予定であり解析用コンピュータの購入を計画していたが,当初の予定よりも臨床症例のMRI撮像が遅れたためにコンピュータ購入を行っておらず次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の設備備品費用に充てる予定である.
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