研究課題/領域番号 |
15K19792
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上薗 玄 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60546480)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 画像誘導小線源治療 / 子宮頸がん / アプリケーター |
研究実績の概要 |
子宮頸癌に対するMRIを用いた画像誘導小線源治療は、病変の進展範囲を正確に同定し照射範囲を設定するにあたり極めて有用な治療方法である。治療に際してMRIに対応したアプリケーターが必要であるが、現在市販されているアプリケーターは欧米人向けに開発されたものであり、比較的体格の小さな日本人・アジア人に適用するのは困難な場合が多い。そのため日本人の体格に合わせたMRI対応アプリケーターの開発が急務と考えている。 平成27年度は、アプリケーターの試作、および物理学的な安全性の検証を行うことを目標とした。 試作品のアプリケーターは3Dプリンターを用いて作製した。膣円蓋部で固定するオボイド部分は、高齢者の狭膣を想定し、25x25x20(縦x横x奥行)mmのものを作製した。一般的に用いられるタンデム・オボイド線源のみでは腫瘍全体に充分な線量を照射することが困難な場合があり、そのような症例に対しては必要に応じて組織内照射を併用できるようにした。そのため、オボイド辺縁部分に組織内照射用ニードルの通路(2mm径)を8か所配置し、またオボイド中心部分にはタンデム用の通路(4mm径)を確保した。 試作品を婦人科内診用トレーナ内に挿入して物理学的な検証実験を行った。現在使用されている一般的なアプリケーターを用いた場合と比べ、周辺組織に及ぼす線量分布の影響はほぼ同等であることを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の進捗状況としては概ね計画通りに進捗している。 体内に挿入されるタンデムおよび組織内線源用ニードルの素材としてチタンを用いることを想定しているため、チタンの体内挿入に関する生物学的安全性の検証を行う予定であったが未施行である。平成28年度早期に予定している。
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今後の研究の推進方策 |
実際の治療に用いる際には、本アプリケーターと、遠隔操作が可能な密封小線源装置(RALS)を接続して照射を行うことになる。そのため汎用されているRALSとアプリケーターとの接続は、確実かつ内腔の線源移動が円滑である必要がある。 現在この接続部分に関して、RALSの製造・販売を行っている企業との協力を打診している。本アプリケーターを特許化することで、接続に関する課題を解決する予定である。 今後は動物実験を通して生物学的安全性を確認したのち、院内倫理委員会の承認を得たうえで実際の症例に対して安全性を評価するfeasibiltiy studyを行う。20例の症例を通じて安全性の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた生物学的検証実験(動物実験)が現在実施出来ていないことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に上記動物実験を行う計画である。
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