研究課題/領域番号 |
15K19797
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
大谷 環樹 徳島大学, アイソトープ総合センター, 助教 (40709557)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 11C標識エルロチニブ / 核医学 / 上皮成長因子受容体 |
研究実績の概要 |
Positron Emission Tomography (PET)により評価が可能な11C標識エルロチニブを用いた上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異の非侵襲的な検査を可能にすることを目的とした研究において、初年度では専用の合成トレイの作成及び安定的な合成手法の検討、担癌マウスのPET測定を計画した。 住友重機械工業株式会社に専用合成トレイを作成依頼した。11Cエルロチニブの合成に関し、高速クロマトグラフィー(HPLC)解析において、目的生成物が生成され、且つ放射性同位元素が標識されていることを確認でき、計画通りの合成プロセスを踏むことができた。 PET測定に関しても、動物投与の段階まで進んでいる。研究計画として、従来より使用されている18F-FDGを用いた糖代謝測定と今回新たに合成された11C-エルロチニブとの比較評価を予定している。18F-FDGではEGFR遺伝子変異の検出及びエルロチニブの抗腫瘍効果予測は困難とされているので、11C-エルロチニブの有用性が期待される。EGFR遺伝子変異を有する細胞株を同所移植した担癌モデルマウスの測定を実施したところ、11C-エルロチニブ並びに18F-FDGにおいても明らかな集積は認められなかった。この原因として、腫瘍の大きさは長径2mm の小さな腫瘍を対象にしたため、集積を評価するのに十分な大きさではなかったと考えられた。しかし、2mm以下の腫瘍では評価が困難であるという有用な結果を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
11C標識エルロチニブの専用合成トレイの完成が10月末を予定していたが、12月中旬となってしまい研究の進展状況がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後腫瘍がより大きなタイミング(長径5mm以上)で同様の測定を行い、18F-FDGとの比較評価により11C-エルロチニブの有用性を評価する。 使用する細胞株としてはEGFR遺伝子変異を有する細胞株(PC-9),遺伝子変異を有しない細胞株(A549)、及びエルロチニブに耐性を持ったPC-9細胞株をそれぞれ同所移植したモデルマウスに対し、PET測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年3月に納品となり、支払が完了していないため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年4月に支払完了予定である。
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