本研究では、最新の冠動脈CT解析技術であるサブトラクションCTAの問題点を明らかにした上で、臨床応用の最適化を行い、サブトラクション冠動脈CTAによる高度石灰化病変およびステント内再狭窄の評価方法を確立することを目標とした。本研究によりテストインジェクション法を用いた最適な撮像プロトコールが明らかとなり、学会および英文雑誌にて報告を行った。 また冠動脈サブトラクションCTAにおける正確な非剛体変形を利用して、造影前CT画像にて冠動脈プラーク性状評価を行える可能性を示した。冠動脈プラークのCT値はリスク評価において重要であり、ガイドライン上ではCT値30HU以下は高リスクとされている。より正確で再現性の高いプラーク評価を行う必要があるため、今後も本研究における手法を含め様々なアプローチの模索が必要と考えられる。 冠動脈サブトラクションCTAでは、心拍数が上昇するにしたがって撮像された画像のモーションアーチファクトやミスレジストレーションが増加することをファントム実験にて示した。冠動脈サブトラクションCTAの画質は心拍数の影響を受けると考えられるため、ベーターブロッカーを用いた十分な心拍数コントロールが必要と考えられた。将来CTの時間分解能がさらに向上することで冠動脈サブトラクションCTAの有用性がさらに広がる可能性が示唆された。研究成果は第77回日本医学放射線学会総会(2018年4月12日(木)~15日(日) 会場:パシフィコ横浜)にて報告を行っており、今後英文雑誌へ投稿を予定している。
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