研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究ではCT検査を受診した患者の生体試料を用いて,1回のCT検査による被ばくでDNA損傷が誘導されるものの約1年のインターバルを挟むとDic,転座ともに染色体異常頻度の明確な蓄積は認められないことを明らかにした。これは疾患との関連性,特に発がんに寄与する割合は低いものと考えられる。また,通常の倍に当たる2,000細胞を解析することで100 mGy以下の低線量被ばくの影響も評価可能であることが示唆された。しかし,研究開始以前の段階で染色体転座の蓄積が認められ,低線量被ばくの影響が観察できなかった可能性が考えられるため,より詳細な解析には健常者の染色体異常の自然発生頻度について調査が必要である。
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