稀な腫瘍である縦隔腫瘍の画像的鑑別はその画像的類似性により、しばしば苦慮することがある。今回、Dual source CT (DSCT)による Dual energy CT(DECT) モードを使用した撮影データ処理における臨床用アプリケーションの1つである monoenergetic imaging 解析を実施し、新たな画像的鑑別法が確立できないかを検討した。前年度に引き続き、DECT撮像によって仮想的に作成することができる 40 kilo eectron volt(keV)から190 keVのCT画像を10 keV毎に再構成し、 Region of Interest (ROI)を用いて縦隔病変部のCT値および各keVにおける変化を測定した。造影剤によるアーチファクトの影響が予想される部分に関してはそこを省いて計測した。評価対象の縦隔腫瘍は胸腺上皮性腫瘍、悪性リンパ腫、縦隔嚢胞病変の3群で、各群間でkeV変化に伴う病変部のCT値変化の勾配について、造影前、造影早期相および造影後期相の各相において比較検討した。勾配は40-110 keV、40-100 keV間として評価した。結果:40-110 keV、40-100 keVの勾配共に、造影前、造影早期相においては3群間に有意な差は認められなかった。しかし、造影後期相においては胸腺上皮性腫瘍と悪性リンパ腫の間に有意差はないが、嚢胞性病変との比較では胸腺上皮性腫瘍、悪性リンパ腫の両病変共にいずれの勾配においても有意差を認めた。
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