研究実績の概要 |
頭頸部癌放射線療法後の有害事象の体系化を進める過程で、専用の開口測定器を用いて、放射線療法前と放射線療法後の定期的な開口測定を開始した。症例の集積を進めている。全体として、放射線療法後は放射線療法前より開口径が小さくなる印象を受けた。中には、開口がほとんど難しくなり、食事が困難になる症例もみとめられた。症例の三次元治療計画を見直し、極端な分布を示していないことを確認した。しかし、開口をつかさどる筋肉や関節に放射線は照射されており、放射線療法との因果関係はないとは言えないと考えられた。正常組織障害予測モデルを用いて、翼突筋、顎関節、側頭筋、咬筋などのコンツールを3次元治療計画CT上で行い、線量容積曲線を描出する。V20,V40,平均線量などのパラメータを抽出してどのパラメータが、開口障害に関与しているか、調べる。予備調査では、開口障害には、顎関節の平均線量と放射線療法前の開口径が、開口障害の発生にはもっとも関与しているのではないかと考えられた。顎関節の線量を抑えて、強度変調放射線治療を行えば、開口障害の発生を抑えられる可能性があり、また、線量を抑えることが難しくても、開口障害の発生のハイリスクグループを割り出して、効果的なリハビリテーションや薬物治療などの介入をなどの提案を早めにしていくことで、患者の利益につながる可能性があると考えられた。今後も引き続き、研究を進めていく予定である。
|