研究課題
頭頸部癌放射線療法後の有害事象の体系化を進める過程で、専用の開口測定器を用いて、放射線療法前と放射線療法後の定期的な開口測定を自施設で行ってきた。頭頸部癌26例において、照射前の開口径の平均値は48 mmに対して、放射線療法後6か月の開口径の平均値は41 ㎜であった。平均値は低下しており、中には参照文献でしばしば引用される35 ㎜を下回るものもあった。他施設のデータでは、頭頚部癌放射療法後に、132例中で30例で開口径が35 ㎜を下回っており、自施設のデータより開口障害が深刻であった。他施設データで、3次元治療計画CTにおいて、開口障害にかかわると予想される、筋肉や関節のコンツールを行い、線量体積曲線を描出して、線量因子と臨床因子を用いて多変量解析を行い、開口障害に関係する臨床因子、線量因子を割り出して頭頸部癌放射線療法後の開口障害の発生予測モデルを作成した。最も関与している臨床因子は放射線治療前の開口径(ベースライン)であった。また、最も関与している線量因子は対側の顎関節の平均線量であった。この2因子で正常組織障害予測モデルの作成が可能であった。ベースラインの開口径が50 mmで対側顎関節に平均で60 Gyの放射線が当たると、76%で開口障害が起こる。ベースラインの開口径が55 mmで対側の顎関節に平均で20 Gyの放射線が当たると17%で開口障害が起こる。これを5 Gy刻みで横軸を(幅0-60 Gy)、5 mm刻みで縦軸をとり(幅5-70 mm)、開口障害が何%で起こるかを示した、簡便な開口障害予測早見表を作ることができ、日常臨床に非常に役だてることができるようになった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Investigational New Drugs
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s10637-018-0587-8