研究課題/領域番号 |
15K19810
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大島 伸宏 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (80508648)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アイソトープ治療 / がん / オクトレオチド / インジウム-111 / イットリウム-90 / 放射性医薬品 / 腎臓 |
研究実績の概要 |
ラジオアイソトープ (RI) 標識ペプチド誘導体を用いる「がんのアイソトープ内用療法」では、RI 標識ペプチドが非特異的な高い腎放射能集積を示すため、それによって発症する腎毒性が臨床応用上の問題となっている。申請者らは 111In-DTPA-オクトレオチドをモデル化合物とし、母体ペプチド鎖に適切な化学修飾を施すことで体内動態を制御し、腎集積を低減するとともに腫瘍集積を増大する化合物を見出している。本研究では、上記の知見に基づき、既存の薬剤と比べて高い腫瘍集積を示し、アイソトープ内用療法に応用可能な優れた体内動態を有する放射性オクトレオチド誘導体の開発を目指す。 平成 28 年度は、前年度に in vitro で評価した化合物群の中から、高い腫瘍集積を示した化合物を選別し、正常動物およびがん移植モデルマウスを用いて、体内動態を評価した。正常マウスを用いた検討から、腎集積が低減する化合物を選定し、続いて担がんマウスを用いた検討で、in vivo における腫瘍集積性を評価した。その結果、既存薬剤と比べて in vivo 腫瘍集積が 7-10 倍に増大した新たな放射性オクトレオチド誘導体が見出された。今年度に見出された高い腫瘍集積性を有する新たな放射性オクトレオチド誘導体をリード化合物とし、90Y と安定な錯体を形成する誘導体の合成を試みたが、その合成には至らなかった。平成 29 年度には、90Y 標識オクトレオチド誘導体を合成し、得られた放射性ペプチドを正常マウスおよび担がんマウスに投与し、体内動態や治療効果を評価することで、内用療法薬剤としての有用性を確認したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に従い、111In-DTPA-オクトレオチド誘導体群の体内動態評価を、研究協力者の所属機関において共同で実施した。正常臓器およびがん組織への放射能集積を評価したところ、がん組織へ高い放射能集積を示す新たな誘導体が見出された。この誘導体を新たなリード化合物として、90Y との錯体形成を担う新たなキレーターが導入された新たな誘導体の合成を試みたが、その合成には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に合成を試みた新たなオクトレオチド誘導体を合成し、111In または 90Y で標識する。得られた標識化合物を培養細胞への放射能の取込み、正常動物および担がんマウスの体内動態、担がんマウスに対する治療効果の評価をを通じて、内照射療法に適した新たな放射性オクトレオチド誘導体を見出す。
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