研究課題/領域番号 |
15K19823
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
竹中 章倫 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (20748686)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小動物 / PET / CD-Well / 自動採血 |
研究実績の概要 |
PETでは生体への親和性の高い放射性同位元素が使用できることから、糖代謝や神経受容体濃度といった様々な生体機能の測定が可能であり、新規薬剤や治療法の効果をin vivoの画像として得られる。また、小動物用PETカメラが商業化されたことから、ヒトや大型動物に対して確立された動態解析法をマウスやラットへ応用する試みがなされるようになった。特にマウスでは、様々な遺伝子改変モデルや病態モデルが利用可能であることから、PETを用いた定量分子イメージングの、創薬や診断治療法開発への寄与が期待されている。しかし、対象が小さいことから、小動物PETによる生体の生理学的機能や疾患モデルの定量評価方法が確立されたとは言い難い。 小動物に対するPET定量撮像を実現するため、我々は微量血漿中放射能濃度測定システム「μFmPC」(μ-Fluidic Micro Plasma Radioactivity Counting System)と自動採血装置を開発した。 マウスの脳ブドウ糖代謝測定に対して、微量血漿中放射能濃度測定の自動化システムと小動物用PET/CT装置下での撮像プロトコルを最適化し、正常マウスの脳ブドウ糖代謝定量値算出や測定の再現性を検討した。今後、遺伝子改変マウスや疾患モデルマウスに応用し、研究の有用性を確立する。 本研究の達成により、マウスに致命的な影響を与えることなくPETによる生体機能の定量的画像化が実現できる。その結果、同一マウスに対する長期にわたる経時測定が可能となることから、一般的な研究手技として創薬あるいは治療法開発の促進が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスの大腿動脈へのカテーテル挿入手技や手技中の麻酔管理、最小限の失血量で正確な血中放射能濃度曲線を得るために最適な自動採血プロトコールを確立した。結果として、8週齢の正常雄マウス9匹分のデータを収集し、微量血漿中放射能濃度や脳ブドウ糖代謝を算出することができた。上記研究結果をサンディエゴにて開催されたSNMMI2016で発表し、現在学位論文テーマとして論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
微量血漿中放射能濃度測定の自動化システムと小動物用PET/CT装置下での撮像プロトコルの問題点を吟味し、適宜改良を加える。研究の有用性を確立するために、遺伝子改変マウスや疾患モデルマウスでも応用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
藤田保健衛生大学内の放射線科研究室で実験手技のトレーニングをするため、小動物用麻酔器を新規購入する予定であったが、共同研究施設である国立長寿医療研究センターの小動物PET室で実験手技のトレーニングが可能になり、購入機会を逸した。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に必要な機材や消耗費、及び実験動物の購入資金にあてる。
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