研究課題/領域番号 |
15K19832
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
曽我 茂義 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 放射線医学, 講師 (80365387)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | MRリンパ管造影 / MR lymphangiography / リンパ管造影 / リンパ浮腫 |
研究実績の概要 |
本研究では、新しいリンパ管イメージング方法である高分解能3D MRリンパ管造影(以下MRL)によるリンパ管疾患の新規診断手法の確立を目指しているが、本年度は稀な原発性リンパ浮腫にも多くMRLを施行することができ、praecox、tardaの症例を主体に通算で15例の原発性リンパ浮腫の症例を蓄積し、希少なデータを得ることができた。続発性リンパ浮腫についても上肢、下肢ともに順調に症例数が増加したが、新たに末梢の高分解能MRLプロトコール(第74回 日本医学放射線学会にて報告)に加え、Magnetic resonance-thoracic ductography (MRTD)を過去の組み合わせることで、リンパ管疾患患者に対するtotal lymphatic imagingとして、新たな撮影プロトコールを構築、実践し新たなデータを蓄積した。 またMRLが治療のdecision makingに与える影響や、MRLによる治療適応決定や治療反応性予測、治療効果判定の可能性などの臨床的なインパクトにつき検討し、これを2017年4月の第76回日本医学放射線学会総会でも報告する事となった。一方で、preliminaryな結果ではあるが、これまでのMRLによるリンパ管形態、分布の解析からは、リンパ浮腫の病期の進行に伴って、下肢リンパ管描出の部位に一定のパターンを持って移行が見られる傾向や、また原発性リンパ浮腫においてリンパ管描出のパターンが大きく3つに分類される傾向が見出されたため、次年度に引き続き検討を行っていく。 また、まだ少数例ではあるが赤外線バスキュラービューワーによる静脈マッピングの有用性についての検討、鼠径リンパ節の直接穿刺によるMRリンパ管造影とMRTD、鼠径リンパ節アクセスでのリピオドールによるリンパ管造影との比較検討も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に研究体制、環境の整備に想定外の長時間を要したために計画の遅延が生じたが、今年度は症例数を順調に増加させることができた。しかし学会発表などアウトプットについてはまだ当初の予定よりやや遅れているため、次年度はこれまで得られたデータから積極的に学会報告や論文投稿を行い研究成果を結実させたい。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き症例数を増加させ、統計学的なパワーを高めて解析を行う事で、これまでに見られた、病期とMRL所見のパターンの変化の傾向、原発性リンパ浮腫のMRL所見のパターン分類の検証、またMRL所見と臨床所見、治療に与えるインパクトについて更に解析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、高分解能MR lymphangiographyのパターン分類、病期による所見の変化について国際学会等での成果報告を行う予定であったが、時間内には研究成果が十分に成熟しなかった部分があったため、今年度の旅費および英文校正費などの人件費、謝金が予想より少なくなった事による。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、引き続き検査症例数の蓄積を行うが、成果報告のための多くの学会発表がすでに予定されており、また論文報告も予定しているため、未使用額を次年度研究費とあわせて使用する計画である。使用計画としては、未使用額と助成金を併せて以下の項目での支出を計画している。1. 研究成果公表、情報収集のための国際学会、国内学会の旅費、2. 論文投稿、英文構成費用、別刷り費用、3. 統計解析と画像処理のためのソフトウェア、消耗品等の購入費用。
|