研究課題/領域番号 |
15K19834
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
岡田 真希 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 標識薬剤開発部, 研究員(任常) (00415407)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | α-ケトグルタル酸 / 2-ヒドロキシグルタル酸 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続きイソクエン酸脱水素酵素変異によって生じるオンコメタボリットである2-ヒドロキシグルタル酸のイメージングを目的とし、1位の11C標識α-ケトグルタル酸のオクチルエステル([1-11C]α-KGオクチル)の合成を試みた。ホスゲンを反応中間体として用いた既報のcold体のα-KGオクチルの合成法による合成を試みたが合成することはできなかった。反応の第1段階である[1-11C]クロロギ酸オクチルの生成がうまくいっていない可能性が考えられた。これまで、11Cホスゲンとオクタノールの反応を用いた報告はない。そのため、まず、11Cホスゲンとアルコールの反応条件を調べるため、N-フェニル[カルボニル-11C]カルバミン酸メチルを合成したところ、50%の収率で目的物を合成することが可能であったため、この条件下で11Cホスゲンとオクタノールを反応させた。[1-11C]クロロギ酸オクチルの生成を確認するため、検出が容易なN-フェニル[カルボニル-11C]カルバミン酸オクチルを合成したところ、60%の収率で目的物が得られたが、[1-11C]α-KGオクチル合成反応は進まなかった。反応の第2段階である[1-11C]クロロギ酸オクチルとα-KGの反応時に11Cが脱炭酸すると考えられた。そのため、反応中間体を11Cホスゲンから11Cシアンに変え、合成を再検討することとした。まず前段階として、α-ケト酸でありより単純な構造のピルビン酸([1-11C]ピルビン酸)の合成条件を検討した。アンモニア存在下の11Cシアンでは、反応が進まなかったため、アンモニア非存在下で11Cシアンとアセチルクロライドを室温で反応させたところ、第1の目的物である[11C]ピルボニトリルが得られ、その収率は10%前後であった。氷冷条件下では収率は20%前後まであがった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画上では、既報のcoldのα-KGオクチルと同様の合成条件で[1-11C]α-KGオクチルの標識合成を行う予定であったが、実際に標識合成を検討したところ、合成がうまく進まなかった。[1-11C]クロロギ酸オクチルを生成する第1反応がうまくいっていないと想定し、合成条件を11Cホスゲンと既報のアルコールの反応から再検討していき[1-11C]クロロギ酸オクチルの生成条件を確立することはできた。しかし、第2反応である[1-11C]クロロギ酸オクチルとα-KGの反応時に11Cが脱炭酸されることが判明し、最終的には[1-11C]α-KGオクチルを合成することができなかったため。既報条件では合成ができず、11Cシアンを標識中間体とした合成方法の検討に取り組んだため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、11Cシアンを用いた[1-11C]ピルビン酸の合成条件検討を行う。第1反応である[11C]ピルボニトリルのより収率のよい条件および第2反応である酸化条件を検討し、[1-11C]ピルビン酸標識合成条件を確立する。この[1-11C]ピルビン酸標識合成条件を基に、[1-11C]α-KGの合成を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに成果が得られず、成果発表に至らなかったため。 新しく発売されたIDH変異細胞株の購入。およびその培養等に用いる器具・試薬。
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