本研究は重粒子線がもたらす大きな生物効果を明らかにすることを目的としている。重粒子線誘発フリーラジカルの寄与を明らかにするため、OHラジカル除去剤としてDMSOを用い、hprt遺伝子座における突然変異誘発頻度と突然変異体の欠失パターンを調べた。突然変異誘発における間接作用の寄与率は、X線で約80%、炭素線で約50%となり、重粒子線においても間接作用の関与が少なくないことが示唆された。突然変異体におけるhprt遺伝子の欠失パターンを調べると、重粒子線ではフリーラジカル除去の有無に関わらず同様の欠失パターンを示し、重粒子線誘発突然変異体は直接作用が主要因であると示唆された。
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