研究課題
先行研究でがん幹細胞関連因子であるEpCAMと早期声門がんに対する放射線治療の関係について調べ、EpCAM強陽性の腫瘍が再発しやすいことを発見し、2014にLaryngoscopeに投稿しました(2014;124:E431-436)。この研究を発展させる形で、今回対象を頭頸部扁平上皮がん全般に広げてEpCAMの発現と放射線治療の治療成績との関係を調べることをテーマに研究費をいただきました。研究結果は、放射線治療後の予後と相関する因子として勿論病期分類が強い因子でしたが、EpCAMもまた強い予後因子であり、先行研究同様、EpCAMの強陽性腫瘍は放射線治療に抵抗性であるという結果でした。まとめた結果は昨年の日本放射線腫瘍学会に発表し、また、来月の頭頸部癌学会でも発表予定です。同時に論文化も進め、これまで累計2雑誌に投稿しましたが、残念ながら2箇所ともにrejectされてしまいました。現在修正を加えており、近日中に再度別の雑誌に投稿予定です。上記研究に並行して、早期声門がんに対する根治的放射線治療において、異なる照射スケジュールを比較した第3相多施設臨床試験であるJCOG0701の患者を対象に、先行研究の結果をvalidateするような附随研究を想起しました。昨年末、無事この附随研究は承認を受けましたので、今後この附随研究によってJCOG0701の患者でもEpCAMの発現と放射線治療の関係が調べられればさらにEpCAMと放射線治療の関係が明らかになるものと考えます。
2: おおむね順調に進展している
研究費を獲得後、これまで1つの論文を作成しました。まだ掲載されていませんが、おそらくどこかの雑誌には掲載してもらうことが可能であると考えています。
EpCAMと放射線治療に関する研究の応用として、JCOG0701(早期声門癌を対象としてことなる放射線治療のスケジュールを比較した第三相多施設前向き臨床試験)の附随研究を行うことが承認されました。本研究の中で、2014年に行った研究結果をvalidateできるような仕事ができればよいと考えています。
JCOG0701の附随研究が承認されるのが遅れたため、昨年度中に研究を開始することができず、研究費を予定通り使用することができませんでした。
JCOG0701の附随研究の実施に必要な経費に充てたいと考えています。また、現在投稿中の論文の投稿費やこの結果を2017年度の頭頸部癌学会で発表する際の旅費に充てたいと考えています。
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