研究課題/領域番号 |
15K19842
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
工藤 博典 東北大学, 大学病院, 助教 (00723032)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 小腸移植 / 急性拒絶反応 / 自然免疫 / 移植免疫 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
小腸移植は不可逆的腸管不全患者の根治的治療である。導入免疫抑制療法の導入等により短期成績は向上したが、中長期的成績は未だ発展途上である。これは、急性・慢性を含む拒絶反応の制御に難渋しているためで、一方で免疫抑制強化に伴う感染症も問題である。成績向上には免疫抑制療法の強化が必要だが、感染症の対応にも苦慮しており、既存のリンパ球制御を主とした免疫抑制療法には限界と考えた。 そこで、我々は、小腸移植の新たな免疫抑制療法のターゲットとしてマクロファージに着目した。2011年に取得した科研費(基盤C)による、ラット小腸移植モデルを用いた急性拒絶反応時の腸管マクロファージのサブセットについてのフローサイトメトリーを用いた解析しでは、ED1/2/3マーカーによる4つのサブセットが存在し、とりわけ急性拒絶反応に強く関与するサブセットが存在することを発見した。 一方で、マクロファージの起源、発生過程について調べると、単球/マクロファージの分化・増殖を刺激する造血系サイトカインであるマクロファージコロニー刺激因子(CSF-1)に関する知見を得た。また、CSF-1受容体陽性マクロファージが、虚血再還流障害や急性拒絶反応において、多数組織へ移行することも知られ、腎移植のラット実験にて、同剤の投与が急性拒絶反応を軽減することが報告されていた。 よって、今回、CSF-1R阻害剤を用いて、選択的にCSF-1R陽性腸管マクロファージを枯渇させ、小腸移植後急性拒絶反応の発症を抑制 するという、新たな免疫抑制療法の確立を目的とする研究を開始した。 これまでの研究では、CSF-1受容体葬儀剤を投与し、正常ラットの血中単球が減少し、また、急性拒絶モデルでは、拒絶反応の所見が軽減するという結果を得た。しかし、マクロファージのサブセットの解析や機能評価にはいたらなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットモデルは既に確立しており、平成27~28年度で、薬剤の効果判定、マクロファージの動態変化・機能の解析を粉う予定であった。しかし、研究協力者が平成27年度初期より不在となり、また、その後の研究体系・組織の形成も十分に行えなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
新たな人員確保も検討したが困難なため、代表者自身が研究の中心となり進めることを想定し、スケジュールを作成する。 しかし、H29年度では、研究が完遂できない可能性もあり、その場合には期限延長の申請も考慮する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
、研究協力者が平成27年度初期より不在となり、また、その後の研究体系・組織の形成も十分に行えなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
新たな人員確保も検討したが困難なため、代表者自身が研究の中心となり進めることを想定し、スケジュールを作成する。 しかし、H29年度では、研究が完遂できない可能性もあり、その場合には期限延長の申請も考慮する
|