肝移植後早期に血小板減少の継続を認めた症例の治療成績は不良であるが、この病態の解明は不十分である。本研究では、肝移植後早期に肝生検にて得られた肝組織やラット虚血再灌流障害モデルを用いて同病態の解明に取り組んだ。血小板は主に類洞血管外血小板凝集Extravasated platelets aggregation(EPA)の形態として認められ、同程度が強い症例ほど、血小板数やグラフト機能の低下を認めた。虚血再灌流障害モデルでは、抗血小板作用及び血管平滑筋拡張を要するPDE3阻害剤を虚血処置前に脾臓注入にて経門脈的に投与したところ、肝組織・機能障害、血小板減少および小腸障害の軽減を認めた。
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