研究実績の概要 |
乳房-腋窩-上腕のリンパ網の解明ならびに病理組織学的センチネルリンパ節転移陽性症例におけるセンチネルリンパ節とバックアップ腋窩リンパ節郭清によるリンパ節のマッピングを行った。Tis-T2の原発性乳癌患者228例について、CTリンパ管造影を用いて乳房から腋窩リンパ節に至るリンパ管ならびにセンチネルリンパ節の画像所見について解析した。センチネルリンパ節転移陽性所見として、 A.センチネルリンパ節のPartial staining, B.Stagment lymph vessels, C.Dilated lymph vessels, D. Detoured lymph vesselsの4つのパターンに着目した。うち27例に腋窩リンパ節転移が認められ、Accuracy 89.0%, Sensitivity 92.5%, Specificity 88.6%, Positive predictive value 52.1%, Negative predictive value 98.8%であった。CTリンパ管造影により術前に腋窩リンパ節転移陽性と診断し得た症例は25例あり、2mm未満の微小転移の1例とレトロスペクティブにパターンD. Detoured lymph vesselsにより真のセンチネルリンパ節が同定できていなかった1例であった。今後さらなる正診率の改善が必要であるが、腋窩リンパ節のネットワークを術前に同定することにより、腋窩リンパ節転移陰性の乳癌患者に対する安全かつ正確なリンパ節生検が可能であること、さらには不要なセンチネルリンパ節生検の回避の可能性が示唆された(Breast Cancer.23:519-524,2016, Misako Nakagawa et al.)。
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