研究課題
【背景・目的】肝虚血再灌流(I/R)は肝切除術・肝移植術において回避できず、I/R後肝傷害は臨床的問題である。虚血による肝細胞壊死ともに、再灌流後の類洞内自然免疫系が活性化され、肝内炎症性メディエーターが上昇し、肝傷害が進行する。免疫担当細胞としては、kupffer cell、Dendritic cell、T cell、NK/NKT cellの関与が報告されているが、B-cellのI/R傷害への関与はほとんど解明されていない。肝I/R後の肝内B-cell発現の意義に着目し、I/R傷害の新しいメカニズムを解明するとともに、合理的な予防・治療につながる基礎的根拠となるような知見を得ることを目的とした。【仮説】肝内 B cellが、直接的にあるいは他の免疫担当細胞(kupffer cell、Dendritic cell、T cell、NK/NKT cell kupffer cell、Dendritic cell、T cell、NK/NKT cell)とのinteractionにより間接的に、I/R後の肝細胞に対して細胞傷害性に作用する。【方法】マウス肝I/Rモデルを用いた肝内・血中B cell発現の定量化を行った。8週齢雄性 C57BL/6マウスに全肝30分間虚血後に再灌流させ、0/2/6/12/24時間後に犠死させ、肝組織・血液を採取し、肝組織・血液中の抗CD19陽性細胞数の推移を免疫組織染色及びFACSで評価した。【結果】肝内抗CD19抗体陽性細胞数は、再灌流後2時間で最も発現が多く、その後漸減する傾向を認めた。血中B細胞分布はSham群に比べ、減少傾向を認めが、経時的な変化は認めなかった。再灌流後ealry phase(2-6h)にB細胞数は増加しており、肝虚血再灌流傷害への何らかの関与が考えられる。
3: やや遅れている
肝虚血再灌流傷害に対して、B cellのみの直接作用だけではなく、T cellとの相互作用による間接的作用も考慮され、実験が煩雑化している。また、B cell枯渇モデルの作成(KOマウス・抗CD20抗体投与)も必要である。また、虚血再灌流傷害における肝内のみならず全身循環のB cellの働きも解明する必要がある。
B細胞を枯渇させたモデル(B細胞KOマウス)を用いて、肝傷害に与える影響を検討する。これまでにT細胞(CD4+, NKT)は再灌流後ealry phaseにおいて再灌流後肝傷害に関与することが報告されており、T細胞との相互作用についても検討する。
計画書作成時に購入予定であった消耗品の価格変動のため
次年度への繰越額は消耗品に使用予定である
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