研究課題/領域番号 |
15K19864
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
平井 敏仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70722693)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 免疫寛容 / 膵島移植 |
研究実績の概要 |
膵島移植は糖尿病を根治可能な数少ない手段の一つであり、その普及が期待されているものの、その治療成績は未だ芳しくない。本研究の目的は、invariant natural killer T(iNKT)細胞を活性化することで、膵島移植の治療成績を改善することができるかどうかを検討することである。 iNKT細胞は免疫制御を担当する自然免疫細胞であり、その存在がアレルギー疾患や自己免疫性疾患の発病防止に寄与していることが報告されている。そこでiNKT細胞を活性化することで移植臓器生着を促進させようとする試みがなされてきたが、iNKT細胞の適切な活性化を得る方法は確立していない。我々は、iNKT細胞の強力なligandであるαガラクトシルセラミドを含有したリポソーム(lipo-αGC)を抗CD40L抗体と同時に投与することで、低侵襲な前処置でドナー骨髄細胞を安定して生着させることができるマウス骨髄移植モデルを確立している。本研究では、このモデルを用いて骨髄と同じドナーからの膵島移植を行うことで、膵島移植の生着率の改善、生着期間の延長が得られるかどうかを検証する。 ストレプトゾシンを投与して作成した糖尿病マウスにiNKT細胞活性化療法を行い、ドナー骨髄細胞を生着させる。この糖尿病骨髄キメラマウスの腎臓被膜下に、同一ドナーの膵臓からコラゲナーゼ処理することで抽出した膵島組織を移植。移植後の血糖値の推移、インスリン分泌能、及びドナー抗原に対する免疫応答性を評価検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの実験で、誘発糖尿病モデル、および膵島移植法の確立に成功、さらに骨髄キメラマウスでは免疫抑制療法を使用しなくても膵島移植後の血糖値が長期間に渡り正常化することが確認されている。移植片除去により糖尿病が再発することから、移植膵島に対する免疫寛容が糖尿病改善の機序であることが推定される。免疫寛容状態にあることを証明するために行ったリンパ球混合試験、血清中抗ドナー抗体測定試験では、ドナー特異的免疫寛容状態であることが証明された。
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今後の研究の推進方策 |
実際の臨床試験を想定し、通常の免疫抑制療法を用いた膵島移植の成績と、免疫寛容による膵島移植の成績を比較する。さらに膵島細胞数をさらに減らしても血糖改善効果が得られるかどうか検証する。
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