研究課題/領域番号 |
15K19866
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
三浦 卓也 弘前大学, 医学研究科, 助教 (30722136)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | TLR3 |
研究実績の概要 |
膵胆道癌患者からの腫瘍促進マクロファージ単離ができず、実験計画の再検討を余儀なくされた。当初検討していたCpG-siRNAの治療応用を鑑みたとき、腫瘍細胞および腫瘍微小環境間質細胞のTLR9発現とその相互作用が重要である観点から、研究計画を再度検討し、実行可能および意義のある実験系として、CpG刺激下大腸癌細胞での遺伝子発現変化および周囲微小環境との相互作用を観察する予定とし、昨年度は研究をすすめた。SW480細胞を用いて、CpG-ODN(3μM)を48時間暴露した細胞と、Ctrl-ODNで暴露した細胞の培養上清中に発現するVEGFタンパク(周囲微小環境の血管内皮細胞増殖因子)をELISAキットを用いて解析した。結果は差が得られず、昨年度の結果も踏まえてTLR9の周囲微小環境への影響はin vitroでは見出すことが困難と判断した。そこで細胞内に存在する他のToll様受容体と学内協力体制から実現可能な研究を考慮し、TLR3に着目した。化学療法や放射線療法などの外的ストレスにより腫瘍細胞がnecrosisを起こし、それから放出されるDAMPsと呼ばれる内在性因子が腫瘍微小環境において腫瘍促進にも抑制にも働くとされている。TLR3+癌細胞とされるSW480においてTLR3リガンド(poly I:C)の刺激によりCCL2、CCL5、IL-8遺伝子の発現亢進及びタンパクの発現を明らかにした。今後は周囲微小環境に存在する宿主細胞との相互作用に着目して共培養を進める予定である。また、新たにヒト外科切除標本を用いてTLR3の意義を検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画再検討を要したため。あらたにTLR3に着目し、意義深い実験結果が得られたため、次段階の実験に進む価値があると判断し継続の方針とした。
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今後の研究の推進方策 |
共培養を行い、腫瘍微小環境における腫瘍細胞と宿主細胞の相互作用を検討する。結果に応じて、外科切除標本での免疫病理組織学的検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の技術的困難による計画再検討の必要性が生じ、当初予定していた支出が延期となったため。 平成30年度には今後の推進方策を実行するため、再検討した研究計画のもと必要な物品(および旅費)の支出を行う。
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