研究実績の概要 |
大腸癌切除検体を用いたCripto-1の免疫染色は2000年ー2008年の当科手術症例を用い、194例の染色が終了。10%以上の癌細胞で発現を認めるものを陽性と定義し検討を行った。大腸正常粘膜ではCripto-1の染色を認めず、既報と一致する結果であった。Cripot-1は全症例の約40%で陽性となり、Cripto-1陽性例で全生存率において、有意に予後が悪い結果であった。Cripto-1陽性例では、有意に腫瘍径が大きく、進達度が深い傾向を示していた。その一方、Cripto-1陽性は独立した予後規定因子とはならない結果でもあった。無再発生存率に関しては差を認めなかった。続いて、大腸癌細胞株でiRNA発現ベクターを用いて、Cripto-1 stable knock-down細胞株を作成し、機能解析を行った。in vitroでのmigration assay, proliferation assayを行ったところ、Cripto-1発現抑制細胞株で有意に増殖能、浸潤能が低下していた。in vivoでも同細胞株を用いて、SCIDマウスへの皮下移植モデル、同所(盲腸)移植モデルを作成し、検討を行った。その結果、皮下移植モデルでは発現抑制株で有意に腫瘍径が小さい結果であった。同所移植モデルでは、原発腫瘍の大きさに有意な差を認めたものの、リンパ節転移・肝転移においては明らかな差を認めなかった。大腸癌切除検体からの初代培養細胞を用いての検討を現在行っている。
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