肝細胞癌は再発が高頻度であり、それに対する有効な化学療法の確立が課題となっている。本研究では、ヒト胎児肺繊維芽細胞(HEL細胞)を用いたスクリーニング系を構築し、Ca2+-ATPaseの活性阻害剤であるthapsigarginが増殖期の細胞に対して顕著な毒性を示すことを明らかにした。種々の肝癌細胞に対して当該化合物を作用させたところ、静止期細胞に対して毒性を示す濃度よりも100倍程度低い濃度で増殖阻害効果を発揮した。この増殖阻害効果は、肝腫瘍モデルマウスを用いたin vivo試験でも示された。以上の結果から、Ca2+-ATPaseの活性阻害剤は肝細胞癌に対する化学療法に有用であると示唆される。
|