研究課題
T細胞受容体(TCR)はalpha鎖(TCRA)およびbeta鎖からなるヘテロ二量体として機能する。これらの遺伝子はV (D) J領域間でrearrangementを起こすことにより、多様なT細胞の抗原認識を可能にしている。このため、癌患者において免疫応答および癌の治療反応性に関与するT細胞の役割を解明するには、TCRのシークエンスレベルでの解析が有用と考えられる。次世代シーケンサー(NGS)は、免疫レパートリーのV領域(またはV(D)J配列)をパラレルに1000~1500万種類の塩基配列を安価に知ることが可能となった。Cmab使用前後のPBMCや癌組織からTCRシークエンスを同定することにより、Cmabのバイオマーカーとしての有効性の評価、さらにはCmabに免疫を惹起するメカニズムがあることが証明されれば、免疫療法との併用により更なる治療効果増強が期待でき、患者に恩恵をもたらすことになる。今回、術前化学療法を行う大腸癌患者において、上記を明らかにするため、本研究を行うこととした。今回は、本研究を実施するためのプロトコールを作成、IRBにて承認を得たのち、症例の集積を開始した。その間、本研究を行うきっかけとなった研究に関する論文発表を行った。また、ペプチドワクチンとL-OHPベースの化学療法を施行した切除不能進行大腸癌の9症例で、本研究と同様にmRNAを抽出しTCR-αおよびTCR-βのcDNAを合成しシークエンスを行った。その結果を論文ならびに学会発表を行った。本研究に関しては、現在3症例を集積している。今後も更なる症例集積を行い、解析を行っていく予定である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
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