食道扁平上皮癌の手術検体においてMTH1(MutT-homolugue 1)mRNA発現レベルは正常組織に比較して癌組織において高かった。免疫組織化学染色ではMTH1高発現は深い壁深達度と静脈侵襲、高度な進行癌例と正に相関しており、MTH1高発現例は低発現例に比較して予後不良であった。さらにMTH1高発現は独立した予後不良因子であった。 一方、8-oxo-2'-deoxyguanosine (8-oxo-dG)発現は臨床病理学的因子や予後と相関しなかった。これらの結果から、MTH1過剰発現は食道扁平上皮癌の予後予測因子となり、さらに治療標的分子となり得ることが示唆された。
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