研究課題/領域番号 |
15K19900
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
今井 克憲 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (60555746)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CAF / CXCL12 / CXCR4 |
研究実績の概要 |
まず癌細胞株と共培養モデルを行うヒト腫瘍組織内Myofibrolastの分離に取り組んだ。ヒト胆管癌は症例が少なく、サンプル採取法の検証が難しかったため、胃癌からのCAF分離に取り組んだ。Tumor Dissociation Kit (Miltenyi Biotec, Bergisch Gladbach, Germany)を用いて胃癌腫瘍組織より細胞を分離培養し、継代の後αSMA染色でMyofibroblastであることを確認した。細胞を増やした後凍結し、各種実験用にストックした。これまで胃癌(特に胃接合部癌)組織におけるCXCL12の発現を免疫組織学的に確認し、Myofibloblastが発現している症例を約50%に認めたため、分離したCAF細胞においてもこの発現を確認したところ、6例中3例にてCXCL12の高発現を認めた。CXCL12の受容体であるCXCR4を介した癌細胞-CAF 相互作用が存在するかを確認した。CXCL12高発現CAFとCXCR4発現胃癌細胞OACM5.1Cを共培養すると、癌細胞の浸潤能が有意に亢進し、CXCR4 antagonistであるAMD3100を投与すると、その作用は抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヒト腫瘍組織からCAFを分離する手法を確立した。胆管癌症例が少ないため、胃癌における相互作用の解析を進めているが、方法論は胆管癌にも用いる事ができるため、症例の蓄積を行い同様の解析を行っていく。共培養モデルはこれまで我々は複数の報告を行ってきたが、3次元での培養に取り組む必要がある。Collagen gelの作成に時間を要しており、組成の検証が必要。動物舎の改築工事のため、ヒトサンプル・細胞実験を優先的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象を胆管癌としていたものの、症例数の問題から、CAFと癌細胞の相互作用解析を胃癌に変更し引き続きその詳細なメカニズム解析、CAFを標的とした治療への応用を目指す。胃癌細胞-CAFで確認された相互作用のより詳細なメカニズムを明らかにするため、胃癌細胞におけるCXCR4以下の細胞内シグナルを調べる。また、ヒト胃癌組織におけるCXCL12の臨床的発現意義も調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
比較的安価にて消耗品が購入でき、また、研究進捗の関係上、予定していた出張を行わなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究対象を胆管癌としていたものの、症例数の問題から、CAFと癌細胞の相互作用解析を胃癌に変更し、引き続き研究を行う。その変更に際し消耗品費が今年度よりかかることが予想される。また、データ管理、及び資料作成のための事務補佐員人件費、研究成果発表・情報収集のための旅費に研究費を充てたいと考えている。
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