研究課題
平成27年度、アクアポリン5(AQP5)高発現肝癌細胞株(Alexander細胞)に温熱刺激を加えると、細胞膜および細胞質のAQP5発現が減弱し、細胞容積の減少およびG0/G1停止による細胞増殖抑制が生じることを確認した。一方で、AQP5 siRNAによりAQP5発現を下方制御した際にも、同様の細胞容積減少やG0/G1停止を認めたことから、AQP5発現癌細胞株における、“温熱刺激によるAQP5下方制御を介した細胞容積および細胞周期制御機構”を明らかにした。平成28年度には、Alexander細胞において、温熱刺激あるいは特異的 siRNAでのAQP5下方制御により、細胞遊走・浸潤能が低下しアポトーシスが増強することを確認したことから、“温熱刺激によるAQP5下方制御を介した細胞遊走・浸潤能およびアポトーシス制御機構”を明らかにした。さらに、温熱刺激によるAQP5発現減弱のメカニズムを解明するため、cycloheximide(CHX)投与下に温熱刺激を加えるとともに、proteasome inhibitor、autophagy inhibitorを用いてchase assayを行った。その結果、温熱刺激によるAQP5発現低下はAQP5分解促進により生じており、AQP5分解促進にはautophagyの活性化が関与していることを明らかにした(Int J Oncol. 2017)。低浸透圧刺激による癌細胞破壊療法については、ヒト肝癌細胞株において、クロライドチャネル、カリウムチャネル、水チャネル阻害薬併用による殺細胞増強効果を明らかにした(J Cancer. 2016)。胃癌についても、カリウムチャネル阻害薬併用による低浸透圧殺細胞増強効果をin vitro、in vivo両実験系で明らかにしており、これらの研究結果は英文雑誌に投稿している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Int J Oncol.
巻: 50 ページ: 1857-1867
10.3892/ijo.2017.3940.
J Physiol Sci.
巻: 67 ページ: 353-360
10.1007/s12576-017-0528-x.
J Cancer.
巻: 7 ページ: 1524-1533
10.7150/jca.15181.