【結果】耐圧試験においては、BCB群はFG群に比べて有意差を持って強固であることが示された。膵瘻モデル、膵消化管吻合モデルにおいては、シーリング後1週間の時点では、BCB群でネオベールによる強固な被覆効果を認め周囲臓器との癒着も軽度であったに対し、FG群ではネオベールの一部が脱落していて被覆が不十分であり、周囲臓器との癒着が高度であった。シーリング後8週間の時点になると、BCB群では膵瘻部、吻合部が線維性の被膜に覆われており、周囲との癒着はほとんど認められなくなっていた。一方でFG群では膵瘻部、吻合部は一部感染を伴う仮性嚢胞を形成し、周囲臓器との癒着は高度であった。組織学的には、BCB群では被覆部も本来の膵組織が持つ組織学所見を保っているのに対し、FG群では炎症細胞浸潤と線維芽細胞の極度の集中が目立ち、もともとの臓器の組織所見は保たれておらず、高度の炎症反応を呈していることが確認された。
【考察】BCB群では、FGに比べ、初期段階において強固なシーリング能力があり、膵瘻の発生を十分に予防していると判断できた。長期間での観察にては周囲臓器との癒着もほとんど認められず、異物反応に伴う有害事象も少ないと考えられた。FG群ではシーリング能力が低いため膵瘻を発症し、長期的に見ると、その部分が過度の炎症とそれに伴う周囲臓器との癒着、感染などの異物反応の原因となっていた。BCBは従来のフィブリン糊による固着よりも、膵損傷部にネオベールを強く固着させ、膵瘻を予防できる可能性が高いと考えられた。
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